新生活にそっと寄り添う3冊|春に読みたい物語

季節別おすすめ本

新生活を始めた方へおすすめの本

はじめに

入学式、入社式などのニュースが流れる季節となりました。
今年は桜も咲き、本当に春らしい気候の中、
ワクワクドキドキしながら、新しい世界へ一歩踏み出した方も多いのではないでしょうか。

通勤通学の移動時間や、少し空いた時間、帰宅途中にふらっとカフェで本を読む。
今までと違う時間の使い方ができるようになった自分が、ちょっと大人になった気がする瞬間です。

そんな方々に、いくつかご紹介したい本があります。

希望に満ちあふれた今だからこそ、小説として楽しむことができるはずです。

『桐島、部活やめるってよ』(集英社)朝井リョウ

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1冊目は、朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』(集英社)

大人になった人も、今まさに学生の人も、きっと誰もが知っている“あの感覚”を描いた青春小説です。

何年たっても、ふと思い出すと、苦いレモンの皮をかじったような気持ちがよみがえる――。
時代や立場は違っても、誰もが少なからず抱えていたであろう“あの感じ”が、リアルに描かれています。

今まさに高校生の方にとっては、少し気持ちが重くなる題材かもしれません。

それでも私の場合は、ちょっと嫌な記憶まで引っ張り出されるのに、読んでいてしんどくならない。
むしろ、ところどころでふっと笑ってしまうのは、年齢を重ねたおかげでしょうか。

あの頃の痛みを、少しだけやわらかく受け止められるようになった自分に気づきます。

『れんげ荘』(角川春樹事務所)群ようこ

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2冊目は、群ようこ『れんげ荘』(角川春樹事務所)。

主人公のキョウコは早期退職し、貯金を切り崩しながら月10万円で暮らし始めます。
古いアパートへ引っ越すと、そこには個性豊かな住人たちがいて……という物語です。
シリーズで出版されています。

「なぜこれをおすすめするの?」と思われるかもしれません。
でも、初めて読んだとき、わたしはふっと救われたような気がしたのです。

――「大丈夫。なんとかなるよ。意外と楽しい生活だよ。」

そんな声を、物語の向こうからかけてもらったようでした。

もちろん、現実にはあきらめなければいけないこともあるし、そう簡単に踏み出せる選択ではありません。
それでも、「仕事を辞めても大丈夫かもしれない」と思えたことで、むしろ心に余裕が生まれました。

仕事に疲れた時、思い通りにいかない時に、読み返そうと思った1冊です。

『海が見える家』(小学館)はらだみずき

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3冊目は、はらだみずき『海の見える家』(小学館)。

苦労して入社した会社がまさかのブラック企業で、わずか一か月で退職してしまった主人公。 行き場を失った彼が、ひょんなことから田舎で暮らし始めるところから物語は動き出します。

この作品は『れんげ荘』と同じくシリーズ化されており、 都会から逃げるように移り住んだ主人公が、厳しい自然と向き合いながら

  • 「生きるために何をすべきか」
  • 「生きるために何がしたいのか」

を問い続け、少しずつ成長していく姿が描かれています。

会社から逃げ、順調に社会人として歩む友人たちからも距離を置き、「このままではいけないのでは」と揺れ動く日々。
焦りを抱えながらも、思い通りにならない自然がときに障壁となり、ときに恵みを与えてくれる。
その中で、疎遠だった父との関係や、田舎で暮らす人々の生きざまに触れ、主人公は少しずつ
“自分の生き方”を見つけていきます。

誰もがこんな暮らし方を選べるわけではないけれど、 “こういう生き方もあるんだな” と、どこか憧れのような気持ちを抱かせてくれる物語でした。

※当ブログは読みやすさを優先し、敬称略させていただいております。

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